鎌倉・円応寺の魅力を簡単にわかるように解説

鎌倉にある円応寺(えんのうじ)は閻魔堂や十王堂とも呼ばれる通り、閻魔大王を祀るお寺です。

円応寺の入口と旗

建長寺から徒歩1〜2分程度の場所にある小さなお寺で、閻魔大王を始め、十王や延命地蔵の像が間近で見れるのが円応寺の魅力です。仏像好きには良いスポットと言えるでしょう。

円応寺の歴史と見所

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円応寺の歴史と見所

円応寺は建長寺から徒歩1〜2分程度の場所にある小さなお寺です。建長寺の塔頭で、別名を閻魔堂や十王堂といい、閻魔様を祀っています。

塔頭とは「たっちゅう」と読み、主のお寺から派生したお寺という事で、円応寺は建長寺から派生したお寺という事です。

円応寺の歴史

円応寺の境内

円応寺は歴史を辿れば、足利尊氏により、見越嶽(みこつのごく)から由比ヶ浜に移築し、元禄十六年(1703年)の大地震後に現在の場所に移っています。

宗派 臨済宗建長寺派
山号寺号 新居山円応寺
創建 建長二年(1250年)
開山 智覚禅師(ちかくぜんじ)
本尊 閻魔大王
十王

十王の役割と輪廻転生

円応寺の解説看板

円応寺の魅力は、仏教による人の死後の流れがわかる部分です。釈迦は仏教で死後の世界を輪廻転生で説明していて、人の死や輪廻転生に祭して出てくるのが閻魔大王と十王でとなっています。

円応寺の参道

円応寺の別名は閻魔堂、十王堂ですが、十王とは、亡者が冥界で出合う十名の王のことで、人が死への恐怖を解決し充実した人生を送るために十王が存在していると言われています。

十王にはそれぞれ役割があり、人が死に冥界に行くとそれぞれの王に取り調べを受けるようになっていて、七日ごとに七回、百ヶ日、一周忌、三回忌の合計十回、なので十王の数が十という事です。それぞれ役割があるので見ていきましょう。

十王の役割1. 四王に取り調べを受ける

円応寺のお地蔵さん

亡者はまず、次の王に罪の取り調べを受けます。

  • 初七日の秦広王(しんこうおう)
  • 一・七日の初江王(しょこうおう)
  • 三・七日の宋帝王(そうていおう)
  • 四·七日の五官王(ごかんおう)

十王の役割2. 閻魔大王が亡者の生まれ変わりを決断する

円応寺の桜

この結果を見て、五·七日(三十五日)の閻魔大王が六道のどこに生まれ変わるかを決めるという仕組みです。六道とは、天上、人間、修羅、畜生、餓鬼、地獄の六つの世界の事です。

鎌倉にも六地蔵がありますが、地蔵はこの六つの世界を輪廻する人間を救済する地蔵菩薩であり、実は地蔵は閻魔大王と同一と言われているのです。

閻魔大王は、人を救いたいと思っており、人が罪を認め心から懺悔すれば、閻魔大王が地蔵に身を変え、地獄でも救いにきてくれるという慈悲があるようです。

十王の役割3. 二王が場所・性別・寿命を決定する

円応寺の本堂

閻魔大王が亡者の生まれ変わりを決定した後は次の通りです。

  • 六・七日の変成王(へんせいおう)が場所を決める
  • 七·七日(四十九日)の泰山王(たいざんおう)が男女の性別と寿命を決める

ここまでの初七日から四十九日までを「中有」または「中陰」といい、亡者がこの世からあの世へと旅をしている期間と言われています。

十王の役割4. 三王に遺族が法要で誓う

円応寺の鐘と地蔵

さらに、遺族が下記の三王に慎しむことを誓って法要を行うと亡者の供養になります(遺族の善行にもなる)

  • 百ヶ日の平等王(びょうどうおう)は貪(むさぼり)の心
  • 一周忌の都市王には瞋(怒り)の心
  • 三回忌の五道転輪王には痴(愚痴)の心

このように釈迦が説く「因果業報説」を表すのが十王ということです。

因果業報説とは良いことをすると良いことが得られ、悪いことをすると悪い結果になるというもので、過去世、今世、来世という形で輪廻転生に影響するという話です。

運慶

閻魔大王坐像と運慶

円応寺の閻魔王の文字

閻魔大王坐像は運慶の作品とされおり、運慶が瀕死の病気になった際に、現世に戻す条件を閻魔大王から出され、生き返って像を作ったという逸話があります。条件というのは、運慶の作った閻魔大王坐像をを見た人々が悪行をせずに善縁に趣く事です。

このような話が残っており、見方によって閻魔大王坐像が笑って見えるのは、運慶が生き返った喜びで笑いながら像を彫ったからとも言われています。
閻魔大王坐像は他にもいくつか逸話があり、呼ばれ方も様々です。

  • 「笑い閻魔」運慶が閻魔大王によって生き返らされた喜びにより笑いながら彫像しため閻魔像も笑って見えることが由来
  • 「子喰い閻魔」赤ちゃんを山賊から守るために飲み込んだ事が由来
  • 「子育て閻魔」その後赤ちゃんが無事に成長できた事が由来

運慶とは

円応寺の階段から下

運慶は鎌倉時代の仏師で、奈良の慶派と呼ばれる仏師の一人です。仏師の康慶が父で、京都の三十三間堂の千手観音像で有名な湛慶など複数の息子がいます。

  • 奈良県・円成寺の大日如来像造像
  • 京都府・六波羅蜜寺の地蔵菩薩像ほか
  • 静岡県・願成就院の阿弥陀如来像ほか
  • 神奈川県・常楽寺の阿弥陀三尊像ほか

など各地で仏像を作っています。

運慶は晩年になると、源実朝や北条政子、北条義時など、鎌倉幕府の中心人物から仕事を任され、いくつもの作品を残している鎌倉時代の仏師の中では有名人です。

円応寺周辺の観光スポット

円応寺周辺には建長寺の他、長寿寺、浄智寺などがあります。さらに歩くと東慶寺、円覚寺、北鎌倉、明月院などがあるので、北鎌倉駅から歩いて行くといくつかのスポットを経由して、円応寺へ行くことができます。

また、建長寺近くには小さなお店がいくつか並んでいるので、いくつかのお店で飲食やお土産が楽しめます。

円応寺のそばにトンネルがありますが、そのトンネルを潜って先に進むと鶴岡八幡宮や小町通りに到着するので、広い神社やメジャーなお土産やランチなどを楽しみたい人には、トンネルの先に進むことをおすすめします。

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